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2025.02.28

2025.02.28

放熱性能に優れた電池用「冷却ユニット」

電子機器や機械部品の性能において、「放熱」は非常に重要な要素です。
発熱は、安全性や性能に大きな影響を及ぼすため、信頼性向上のためにも冷却対策が必要となってきます。

特に「金属・樹脂 直接接合ラボ」を運営する睦月電機では、金属と樹脂の一体化による軽量化と効率的な冷却を実現する電池用「冷却ユニット」を提案しています。
EV自動車用のバッテリーはたくさんの電池がモジュール化されています。
それらの電池の発熱を効率的に冷却できるユニットです。
電池用「冷却ユニット」

放熱とは?

放熱とは、物体が持つ熱エネルギーを外部に逃がすことを指します。
放熱の主なメカニズムは以下の3つです。
①熱伝導:物質内部を通じて熱が移動する現象
②熱対流:空気や液体の流れによって熱が運ばれる現象
③熱放射:赤外線などの電磁波を通じて熱が放出される現象

中でも電池用「冷却ユニット」の放熱メカニズムは、熱伝導と熱対流が特に関係しています。

冷却対策のポイント

冷却対策の基本は、発生した熱をどのように逃がすかという放熱のメカニズムを構築することです。
また、一般的に「金属は熱をよく逃がすが、樹脂は熱をこもらせる」というイメージを持たれがちですが、材料の特性を正しく理解することも重要です。

金属の放熱特性

金属は熱伝導性に優れ、効率的に熱を逃がすことができます。
特に、以下のような特性を持っています。

◎熱伝導率が高い
金属は電子が自由に動けることから熱が伝わりやすい材料です。
熱伝導性のよい金属は、
銀(428)、銅(398)、金(320)、アルミニウム(236)といったものになります。
※単位:W/m·K

◎熱を均一に拡散しやすい
金属は熱を素早く全体に広げるため、局所的な温度上昇を抑えることができます。

樹脂の放熱特性

一方、樹脂は一般的に熱を通しにくい材料とされています。
多くの樹脂の熱伝導率は0.1~0.4W/m·K程度と、金属と比較すると桁違いの低さです。

◎熱を閉じ込めやすい
樹脂は熱を伝えにくいため、発熱部品の周囲に使用すると熱がこもりやすくなります。

◎熱膨張しやすい
金属に比べて熱膨張率が高く、温度変化による形状変化が大きくなる傾向があります。

しかし、樹脂は空気を通すことができるため、空冷式で使用されることがあります。

金属と樹脂の特性を生かして効率的に放熱

電池用「冷却ユニット」は、金属と樹脂それぞれの特性を生かしながら、冷却力を向上した放熱板です。

金属は放熱性に優れていますが、樹脂よりも重量が大きく、軽量化が求められる自動車業界においては、ひとつの課題点となっています。
金属内でも軽いと言われているアルミ材でも樹脂の1.5~2倍程度の重さとなります。

一方、放熱性は低い樹脂ですが、軽量化に適しています。
空冷による樹脂の冷却ユニットもありますが、金属と比べると冷却力は高くはありません。

電池用「冷却ユニット」は、そのような金属と樹脂それぞれのメリットを生かし、デメリットを補完するハイブリッドな放熱板となります。

電池用「冷却ユニット」とは

睦月電機が提案する電池用「冷却ユニット」は、金属と樹脂の一体化によって、水冷による冷却と軽量化を実現した放熱板です。
これは流路を形成した樹脂の板を薄い金属板で挟み込み、インサート成形接合によって一体化します。 通常のインサート成形とは違い、金属と樹脂をピタッと接合しているため、気密性・防水性が高く、エアリーク、水漏れを防ぐことが可能です。

オール金属では重くなり燃費効率が悪くなる、オール樹脂では放熱性に優れない。
そんな課題を解決します。
樹脂を使うことで軽量化するとともに、樹脂の流路に水を通すことで金属の冷却力がさらに向上し、効率的な放熱を実現します。

インサート成形接合

電池用「冷却ユニット」

「冷却ユニット」なら、当社にご相談ください。

「金属 樹脂 直接接合ラボ」では、独自の直接接合技術「ALTIMアルティム®」のレーザー技術を用いて、金属表面を粗面化し、射出成形時に金属表面と樹脂を密着させる「インサート成形接合」を提案しています。
インサート成形だけでは担保しきれない強度、防水性、気密性を向上し、高い放熱性の冷却部品を製作いたします。

電池用に限らず、放熱性能を高めたいお客様は、お気軽にご相談ください。

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