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金属と樹脂をそのままピタッ!金属と樹脂の新しい接合技術「ALTIM」

2026.04.28

2026.04.28

専門情報

金属と樹脂の接合技術の重要性

近年、環境負荷低減やエネルギー効率向上の観点から、製品の軽量化が強く求められています。
しかし、金属は強度・耐熱性に優れる一方で重量が大きく、樹脂は軽量であるものの強度や耐久性に課題があります。
このため、単一材料では軽量化と必要性能を同時に満たすことが難しい場合があります。そこで、金属と樹脂を組み合わせ、それぞれの長所を補完し合うハイブリッド構造が有効となり、その実現手段として異種材料接合技術の重要性が高まっています。

ハイブリッド構造を実現するためには、まず、どの材料をどのように組み合わせるかを整理する必要があります。 そこで、金属・樹脂を含む異種材料接合の組み合わせと、それぞれの課題を確認します。

金属と樹脂の接合技術の重要性

金属と樹脂の接合技術の重要性

接合材料の組み合わせと課題

ハイブリッド構造を実現するためには、まず、どの材料をどのように組み合わせるかを整理する必要があります。
異種材料接合は、金属・樹脂・セラミック・木材などの組み合わせによって分類されます。
下図に示すように、その中でも特に金属–樹脂接合は、軽量化と強度確保を両立できるため、モビリティ分野を中心に需要が急速に拡大しています。

金属と樹脂の接合技術の重要性

金属と樹脂を組み合わせたハイブリッド構造を実現するためには、両者をどのような方法で接合するかが重要になります。
これまで金属–樹脂接合には、主に「機械的締結」と「接着剤接合」といった従来工法が用いられてきましたが、高強度・高耐久・高気密が求められ、従来工法では限界が見えつつあります。

まずは、これら従来工法の特徴と課題を整理します。

従来工法:ボルト・リベット締結

金属と樹脂の接合技術の重要性

金属と樹脂の接合技術の重要性

【利点】

・片側からの施工が可能で、大型部品にも適用しやすい。
・作業が簡便で、歴史が長く信頼性が高い。
・表面の汚れや塗装の影響を受けにくい。
・専用工具が安価で設備投資が少ない。

【課題】

・締結部品の分だけ重量が増加。
・外観品質を損ねる場合がある。
・母材に穴を開けるため強度・気密性が低下。
・応力集中によるクラックリスクがある。
・CFRPなどとの組み合わせでは電食の問題がある。

従来工法:接着剤接合

金属と樹脂の接合技術の重要性

金属と樹脂の接合技術の重要性

【利点】

・多様な材料に適用可能。
・低温・低荷重で接合でき、薄板や弱い材料にも適用しやすい。
・面接合により応力分散が可能で、軽量化にも寄与。
・気密性を確保しやすい。

【課題】

・接着剤の選定・取扱いが難しい。
・接合状態の可視化が困難で、工程管理が重要。
・表面状態・温湿度・計量など多くの変数に影響され、ばらつきが大きい。
・剥離強度が不足する場合があり、点接合には不向き。
・やり直しが困難で、硬化時間も必要。

このように、従来工法には利点もありますが、重量増加、気密性確保の難しさ、工程ばらつきなどの課題があり、高強度・高耐久・高気密が求められる金属–樹脂接合では限界が見えつつあります。

これらの課題を解決するために、近年注目されているのが、金属と樹脂を接着剤なしで一体化させる直接接合技術です。
直接接合は、金属表面の改質と加熱圧着を組み合わせることで、界面に強固な結合を形成できる点が特徴です。

新しい工法:金属と樹脂の直接接合

金属と樹脂の直接接合は、「①金属側の表面処理工程」と「②金属–樹脂の接合工程」の2段階で分類できます。

①金属の表面処理工程

下図のように、金属表面の処理方法が「湿式」と「乾式」に大別されています。

金属と樹脂の接合技術の重要性

●湿式処理

・樹脂反応性皮膜の形成
・化学エッチング処理
・陽極酸化処理 など
⇒ 化学的に金属表面を改質し、樹脂との反応性や密着性を高める方法。

●乾式処理

・レーザー照射処理
・機械切削による粗面化
・プラズマ処理
・サンドブラスト処理 など
⇒ 物理的に表面を粗面化・活性化し、樹脂との機械的・化学的結合を促進する方法。

②金属と樹脂の直接接合工程

図では、接合工程が「樹脂成形品と金属を後から接合する方式」と「樹脂成形と同時に金属を接合する方式」に分類されています。

●樹脂成形品と金属との直接接合
(=成形後の樹脂部品を金属に直接接合する方式)

・誘導加熱圧着直接接合
・レーザー加熱直接接合
・摩擦攪拌直接接合 など
⇒ 金属側を局所加熱し、樹脂を溶融・流動させて界面を形成する工法。

●樹脂成形と同時に金属接合
(=射出成形と接合を一体化する方式)

・インサート成形接合
⇒ 金属インサートを金型にセットし、樹脂を射出して一体化する工法高品位な直接接合。

これらの技術は、従来工法では難しかった 高強度・高耐久・高気密 を実現するために開発が進められてきました。しかし、直接接合技術が存在するだけでは、製品として十分とは言えません。
高強度・高耐久・高気密を安定して実現できる“高品位な接合”であることが重要です。

高品位な直接接合技術とは

高品位な接合技術には、次の5つのポイントを満たすことが求められます。

【押さえるべき5つのポイント】
①接合強度・耐久性に優れている
②接合特性(強度など)のばらつきが小さい
③不良率が低く、信頼性が高い
④生産性が高く、コスト面でも有利
⑤接着・接合の品質管理が十分である

現在の研究開発は①〜④に偏りがちですが、実際の顧客ニーズは、①=②=③=④=⑤と、すべての項目が同等に重要です。 特に⑤の「品質管理」は、直接接合の普及を妨げる最大の課題となっています。

高品位な接合に不可欠な「品質管理」とは

接着や直接接合は、後工程の検査だけでは品質を保証できない“特殊工程”に分類されます。
そのため、以下が不可欠です。

◎開発段階での品質の作り込み
◎工程ごとの最適条件と許容範囲の明確化
◎接合原理の理解に基づくプロセス設計

つまり、「どの条件で、どの工程を経れば、高品位な接合が再現できるのか」を数値化し、管理可能な形にすることが品質管理の本質です。

例えば、「インサート成形接合」では、重要な現象が金型内で起こるため、工程の可視化・数値化が難しいという課題があります。
一方、レーザー処理と加熱圧着を組み合わせた直接接合は、工程ごとの条件を明確化しやすく、品質管理に適した技術です。

金属と樹脂の直接接合に求められること

今後のモノづくりでは、金属–樹脂接合において以下が重要になります。

◎接合強度・耐久性・気密性のさらなる向上
◎多様な材料・形状への適用拡大
◎コスト低減
◎特殊工程としての工程管理の徹底
◎工程条件の可視化・数値化による品質保証

特に、「素工程の理解」と「工程ごとの最適条件・許容範囲の明確化」は、直接接合技術を高品位化し、産業応用を広げるための必須要件となります。

金属と樹脂の接合技術の重要性

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