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2026.05.15
2026.05.15
ヒートシンクと銅
これからの冷却技術を支える銅製ヒートシンク
ヒートシンクは、電子機器や電気機器が発する熱を大気中に効率よく逃がす放熱器の一つです。
動作時に発熱を伴う様々なデバイスに用いられます。
発熱体から金属ベースへ熱を伝導させ、空気との接触面積を大きくした冷却フィンを通じて放熱します。
また、水冷式の場合は、流路に冷却液を通して放熱します。
水冷ヒートシンクは、コールドプレートとも言われます。
電子機器の高性能化が進む現代において、熱設計や熱マネジメントは重要なテーマとなっています。
その中心的な役割を担うのがヒートシンクです。
特に、コンピュータのCPUやGPU、LED照明、パワー半導体、車載機器、通信機器などでは、効率的に熱を逃がすヒートシンクの存在が欠かせません。
中でも、優れた熱伝導性を持つ銅製ヒートシンクの冷却ソリューションが注目されています。
ヒートシンクの主な材料
ヒートシンクの素材選定は、熱伝導率・重量・加工性・コストの4軸でバランスをとる必要があります。
アルミニウムは、銅ほどではありませんが、十分な放熱性能を持ちつつ、軽量、手頃な価格で加工性にも優れるため、一般的なヒートシンクとして広く使用されています。
一方、より高い冷却性能が求められる分野では、銅製ヒートシンクが適しています。
◎アルミニウム 比較的低コスト・加工がしやすい・軽量 【熱伝導率:約200W/m·K】
◎銅 熱伝導率が非常に高い 【熱伝導率:約400W/m·K】
銅製ヒートシンクを採用するメリット
①高い熱伝導率
銅を採用する最大のメリットは、熱伝導性にあります。
約400W/m·Kと、一般的な金属材料の中でも最高水準の値を持ちます。
銅はアルミニウムの約2倍の熱伝導率を持ち、発生した熱をすばやく拡散できます。
②小型化・薄型化に有利
熱伝導率の高い銅は、アルミ製ヒートシンクと比較して、よりコンパクトな設計が可能です。
限られたスペースで高い放熱性能が必要な場合、小型化・薄型化に有利です。
③延性・展延性に優れる
銅は延性・展延性に富むため、薄い冷却フィンや細い線状などの微細加工に適しています。
銅製ヒートシンクの冷却性能が求められる背景
近年は、電子機器の高性能化が進んでいます。
例えば、EVバッテリーやデータセンター、AI用GPUなどでは、従来以上の高発熱化対策が必要です。
特に自動車分野では、高温環境対応・長寿命・小型軽量化を同時に満たす必要があり、放熱設計の重要性が高まっています。
銅製ヒートシンクは、自動車のLED照明システムやエンジン制御ユニット、パワーエレクトロニクス機器などの電子機器からすばやく熱を奪います。
こうした背景から、高効率な熱輸送を実現できる銅製ヒートシンクの活用が広がっていくでしょう。
銅製ヒートシンクの課題
銅は非常に優れた熱伝導率を持つ一方、アルミニウムと比べて重く、高価というデメリットがあります。
そのため、低密度で軽く、比較的低コストのアルミニウムが往々にして選択肢となります。
①重量が大きい
銅最大の課題の一つが「重さ」です。
アルミニウムの密度が約2.7g/cm³に対し、銅は約8.9g/cm³。
そのため、ノートPCや車載機器、ドローン、携帯機器など、軽量化が重要な製品では不利になる場合があります。
特に電気自動車では、部品重量が航続距離にも影響するため、放熱性能だけでなく軽量化とのバランスが重要です。
②材料コストが高い
銅はアルミニウムより材料価格が高く、現在も年々高騰しており、高値が続いています。
高純度材や厚肉、精密加工が必要になると、さらにコスト増加につながります。
③酸化・腐食への対策
銅は空気中で酸化しやすく、表面が黒っぽく変色する特性があります。
また、水に弱く腐食を起こしてしまうことから、メッキが必要な場合も多くあります。
樹脂とのハイブリッド構造による軽量化
アルミニウムに比べて重量・価格に課題がある銅ですが、非常に優れた熱伝導率で、高い冷却性能を期待できるため、高性能ヒートシンクの素材として再評価されています。
この材料性能を活かし、さらに冷却効果を発揮するのが「銅製水冷ヒートシンク」です。
しかし、流路を含めて全て銅にすると、重量・価格にシビアな用途においては、大きな課題となってきます。
それを低減する一つの方法が「樹脂とのハイブリッド構造」です。
「金属と樹脂の直接接合ラボ」を運営する睦月電機では、金属と樹脂を独自のレーザー処理と加熱圧着によって直接接合する技術「ALTIM®」を提案しています。
熱源と接するベース部に銅を使用し、水路部分を樹脂に置き換えることで、銅の冷却性能を活かしながら、軽量化と低価格化に貢献します。
また、樹脂は形状の自由度も高いため、意匠性の高い部品や複雑形状にも対応できます。
「ALTIM®」は、アンカー効果、濡れ性向上により高強度・高気密な接合が可能です。また、メッキ処理した金属も対応可能。
液漏れなし・軽量の「銅製水冷ヒートシンク」を実現します。
もちろん、銅だけでなくアルミニウムも接合可能です。
水冷に限らず空冷においても、金属と樹脂のハイブリッド構造を選択肢のひとつとして、ぜひご相談ください。
銅と樹脂をALTIM接合した水冷ブロックサンプル

