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金属と樹脂をそのままピタッ!金属と樹脂の新しい接合技術「ALTIM」

2026.02.27

2026.03.24

専門情報

CPUクーラーは水冷が良いのか?

ゲーム・クリエイティブ用途から産業・エンジニアリング用途に至るまで、普及している高性能CPU。
ハイエンドな高性能CPUが登場するごとに課題となるのが、その発熱量です。
高性能CPUは高負荷時に大きな発熱を伴うため、200Wを超える消費電力となるものも珍しくありません。

CPUには、フル稼働したときに発生する最大発熱量の指標「TDP(Thermal Design Power:熱設計電力)」があります。
これは、どれくらいのCPUクーラー(冷却装置)が必要となるかの目安となります。
TDPが高いCPUほど性能は高いですが、多くの熱を発生します。そのため、TDP以上の冷却能力を持つCPUクーラーが必要となります。

この冷却方式の選択は、パフォーマンスと静音性を左右する重要な要素です。
冷却方式には空冷と水冷がありますが、技術的観点から比較し、「CPUクーラーは水冷が良いのか?」について整理します。

熱を逃がすための冷却システム「CPUクーラー」

CPUは安定動作とダメージを防ぐため、発熱量が増加すると、自動的にパフォーマンスを制限する機能(サーマルスロットリング)が作動します。
しかし、この機能は性能低下につながり、あくまで安全装置であるため、放熱が充分なら作動を避けることができます。
特に、産業用コンピューターの世界では、この機能の作動はモノづくりに影響が出てしまいます。
そのためにも、高性能CPUには強力な冷却性能が必須です。

空冷も水冷も原理は同じで、CPUの熱を吸収して循環させてハードウェアから放出します。

空冷CPUクーラー

高性能な空冷CPUクーラーは、銅やアルミニウムでできたベースプレート(受熱部)、ヒートシンク(ヒートパイプ・放熱フィン)と冷却ファンで構成されています。
ベースプレートが受けたCPUの熱をヒートシンクが吸熱、放熱フィンに運ばれ、冷却ファンで風を当てて冷却します。
なお、一般的なパソコンの場合は、ヒートパイプがない構造もあります。

冷却能力を上げるには、冷却ファンの回転数を上げることが一つですが、回転音が大きくなり、消費電力も増えるといったデメリットも生じます。
また、冷却ファンを大きくする、数を増やすことで放熱性を向上させますが、その分のスペースが必要となってきます。
CPUから素早く熱を吸い上げ、放熱フィンに運び、効率よく放熱することで、静音と効率的な冷却性能を両立するには、金属部品の設計・構造が一つの鍵となるでしょう。

空冷の強み

①シンプルな構造…金属部品と冷却ファンというシンプルな構造。

②長寿命…ポンプやチューブがないため耐久性が高い。

③コストパフォーマンス…高性能空冷でも十分対応可能な場合あり。

CPUクーラー

CPUクーラー

水冷CPUクーラー

冷却液を循環させてCPUの熱をラジエーターまで運び、冷却する方式です。
ハイエンドな高性能CPUは、その処理能力からTDPも高くなっており、空冷では冷やしきれないケースもあります。
そのことから、冷却能力の高い水冷が選ばれるようになっています。

最近は、一体型のAIO(All-in-One)水冷CPUクーラーの普及が進んでいます。
ベースプレートが受けたCPUの熱を水冷ブロック内の冷却液が吸熱、ポンプの力でチューブをとおって、ラジエーターに運ばれます。
温かくなった冷却液はラジエーターで冷やされ、冷却ファンで放熱、冷却液は再び水冷ブロックへと戻り循環します。

水冷ブロック内で水が触れるベースプレート面には、細かい剣山や櫛のような形のマイクロフィンが刻まれています。
空冷も同様ですが、フィンはその表面積を大きくすることで、熱の移動を効率化します。
そのため、水冷CPUクーラーにおいても、この金属設計がポイントといえるでしょう。

【水冷の強み】

①優れた冷却性能…空気よりも熱伝導率・比熱容量が高い水をポンプで強制循環。

②ケース内部温度の低減…熱をケースの外に排出しエアフローを向上。

③内部レイアウトのスマート化…水冷ブロックを小型化でき、風通し良く見た目もスマートに。

④静音と冷却の両立…冷却ファンを高速で回転させることなく効率的に冷却。

このような水冷CPUクーラーは、高負荷でも強みを発揮します。
TDPが高いCPUの性能をしっかり出したい場合や、クロック周波数を上げて、より高いパフォーマンスを得たい場合は、水冷CPUクーラーが求められるでしょう。

CPUクーラー

CPUクーラー

しかし、水冷にはデメリットもあります。

①空冷よりも高価格…一般的に空冷のほうが予算に優しい。

②空冷より高い故障リスク…ポンプ・チューブの経年劣化や破損リスクあり。

③液漏れの可能性…経年劣化や破損、技術的な問題により液漏れリスクあり。

そのため、「水冷が常に上位」という単純な話ではありません。
近年、水冷CPUクーラーの信頼性は向上しましたが、構造上、空冷よりリスク要素は多いのが事実です。
また、空冷もヒートパイプ技術やフィン設計の進化により改善が続いています。

「CPUクーラーは水冷が良いのか?」という問いの答えは、
・高TDPのCPUや熱源が多いGPUを使用する
・一時的にでも高負荷がかかる
・静音性やケース内部のスマート化を重視
などの目的、そして予算次第とも言えるでしょう。

水冷CPUクーラーの液漏れに対応する接合技術

CPUの高性能化に伴う高熱密度時代において、水冷が有力な選択肢であることは間違いありません。
しかし、一番といっても過言ではない「液漏れ」は重要な課題です。

冷却液が通るポンプ・チューブの劣化などによる液漏れリスクは、技術革新によって低減されています。
チューブの素材の進化、ポンプの振動や内圧低減の仕組みなど、リークを防ぐ工夫がなされています。

また、水冷ブロックは、大きく分けて金属のベースプレートとハウジング部分で構成されていますが、ハウジング部分には形状の自由度が高いプラスチック成形品が使用されることがあります。

ここで重要となるのが、接合部の気密性です。
封止設計と接合の信頼性が最重要となります。
パッキン+機械固定で防水している場合、部材の経年劣化によって液漏れにつながる可能性も否めません。

「金属と樹脂の直接接合ラボ」を運営する睦月電機では、金属と樹脂の直接接合技術「ALTIMアルティム®」を提供しています。
「レーザー照射による金属粗面化+加熱圧着」によって金属と樹脂をピタッと接合。 高強度・高気密な接合を実現します。
金属と樹脂を複合化した信頼性の高い水冷ブロックを製作することが可能です。

パッキン不要・ボルト締結不要なため、劣化を気にせずメンテナンスフリー、部品点数削減しシンプルな構造にすることができます。

CPUクーラー

CPUクーラー

金属と樹脂を直接接合した水冷ブロックサンプル

水冷式CPUクーラーは優れた冷却性能が特徴ですが、液漏れが信頼性を左右するため、接合部の工法も重要となります。
その課題に対応する技術の一つが、当社の加熱圧着接合技術「ALTIMアルティム®」です。

採用事例もありますので、ぜひご相談ください。

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