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金属と樹脂をそのままピタッ!金属と樹脂の新しい接合技術「ALTIM」

2021.09.07

2026.02.18

専門情報

金属と樹脂との直接接合

金属と樹脂との複合化

現在、金属と樹脂との複合化技術としては、接着剤による接着法やリベットなどによる機械的締結法がありますが、下記※1に示す課題もあります。

そこで、これらを解決する新たな手法として、樹脂との反応性を上げた金属表面と樹脂とを、「共有結合のような化学結合」、「ファンデルワールス力のような物理結合」、「アンカー効果のような機械的結合」、あるいはこれらを複合して作用を持たせ、金属と樹脂とを直接接合する技術が研究開発されています。
一部は、インサート成形接合法などにより実用化されています1―5)


※1 既存技術とその問題点

□接着剤による接着
・接着剤自体の機械的強度
・前処理、塗布、硬化工程等、多工程
・前処理、塗布、硬化工程における環境負荷
・線膨張係数の差と接着剤厚み


□リベットやファスナー締結
・応力集中の課題
・事前加工が必要
・加工治具消耗によるランニングコストアップ

インサート成形接合法

インサート成形接合法は、樹脂成形と同時に金属と樹脂とを接合できるため、部品製造工程の削減が可能です。
その上、接合面に隙間なく接合できるため、コネクター・電池・キャパシタ端子など、電子機器の封止性への応用が可能となり、金属と樹脂との直接接合工法で最も多く研究され、一部実用化もされています。

また、この工法は1990年頃から佐々木氏らが、金属・樹脂及び自己と結合する官能基を有するトリアジンチオール誘導体で金属表面処理を行い、それをインサート部材として射出成形することによって、樹脂成形と同時に金属と樹脂とを化学結合により接合させることに始まりました。6)
その後、薬品を用いた微細エッチング法やブラスト、レーザーなどを用いて金属表面上に凹凸を設けることにより、機械的結合であるアンカー効果を利用した種々のインサート成形接合法が開発されました7-9)

しかし、安定した接合品を得るための接合最適化には、金属表面処理工程と射出成形工程がお互いに影響しあっていることから10)、下記※2に示す様々な問題を表面処理と射出成形との両面から解決する必要がありました。

一方、金属表面処理業と射出成形業は全く異なる異業種であることから、金属処理工程とインサート成形工程が別々の会社で行われている場合が多く、インサート成形接合の問題解決が困難となっていました。

具体的には、別々の会社では処理金属の受け渡し管理基準の設定が必要であり、問題が発生した場合は、各会社のノウハウの共有が必要でした。
例えば、ナノポーラス金属表面処理では、表面処理の受け渡し基準として、そのエビデンスから高度な分析法によるナノポーラス生成の保証が必要でした。
また、接合品に問題が発生した場合、その原因が表面処理工程かインサート成形工程かを特定できないことも問題でした。


※2 インサート成形の問題点(一例)

・金属表面処理条件の管理
・金属処理と成形までのタイムラグによる金属失活
・樹脂バリやヒケと接合条件のバランス
・金型の場所による接合樹脂圧差や樹脂温度差
・ウエルド部の接合
・異種金属同時接合時の成形条件差
・金型内でのインサート金属の温度管理
・金属と樹脂との線膨張係数差の問題
・成形樹脂劣化による接合バラつき
・高度な金型作成技術が必要


当サイトを運営する睦月電機では、20年以上前からインサート成形接合法におけるメリットを生かすために、化学結合・物理結合・アンカー効果を利用した独自の金属表面処理工程と、自社で金型設計を含むインサート成形接合工程を行う一貫した(ワンストップ)体制により、表面処理と射出成形の問題を別々の課題にはせず、インサート成形接合トータルの課題として解決してきた実績があります。
その実績を基に、当社は新たな直接接合法に取り組んでいます。

【参考文献】
1)佐々木ら,プラスチック成形加工学会誌,5,12,875(1993)
2)S.Katayama.and Y.Kawahito ,  Laser direct joining of metal and plastic, Scripta Materialia, 59, 1247-1250(2008)
3)P.Mitschang, et al.,journal of thermoplastic composite materials, 22,767-801(2009)
4)T.Ozawa, et al., Journal of The Japan Institute of Light Metals, 65 403-410(2015)
5)F.Balle, et al.,  Advanced Engineering Materials, 11, 35-39(2009)
6)佐々木ら,岩手県工業試験場報告,33,29(1991)
7)板橋,表面技術,Vol.66,No8,359-362(2015)
8)林 ら,成形加工,28,58(2016)
9)黒瀬ら,日本接着学会誌,Vol.54,No.5,187-194(2018) 10)木村 ら,成形加工,15,pp. 183-184,(2015)

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