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技術トピックス
2022.08.04
2022.08.04
金属部品の樹脂化における2つの分類
金属部品の樹脂化が求められる背景
日本では1973年・1979年に起こったオイルショックから省エネ志向が芽生え、軽量化というテーマが自動車業界を始めとする様々な業界において重視されるようになりました。この軽量化を実現するために、当時から挙げられていた方法の1つが金属部品の樹脂化です。
当時は樹脂素材の開発技術があまり進んでいなかったため、機能面に優れる樹脂が少なく、樹脂化が可能な部品は限られていましたが、近年ではエンプラやスーパーエンプラを始めとする様々な高機能樹脂が開発され、様々な金属部品の樹脂化が可能となっております。
また、樹脂化の方法も様々なものが開発されています。例えば、射出成形や樹脂切削加工などの樹脂加工技術が進むことにより、製作できる樹脂部品の幅が広がっている他、金属部品の一部を樹脂に転換し、金属と樹脂を接合する方法も開発されています。その代表的な方法としては、金型内に金属部品を入れた状態で射出成形を行うインサート成形が挙げられます。
当社においても金属樹脂接合方法の開発を進めており、2021年にはALTIMという接合方法を開発しました。これは当社が開発した加熱圧着接合技術であり、高耐久かつ柔軟な接合が実現可能なものとなっております。
2つに分類される金属部品の樹脂化方法
金属部品の樹脂化方法は、
①部品全体の材質を変更する
②金属と樹脂を組み合わせてそれぞれがもつ素材特性を活かしつつ軽さ・強度を両立する
という2種類に細分化することができます。前者は軽量化の効果が非常に大きいのに対し、後者は複雑形状・難形状の形状出しをしたい部位については金属材料のままにするというような使い分けが可能になります。
また、後者は金属部品を完全に樹脂に置き換えてしまうと、比強度は向上するものの純粋な強度はどうしても下がってしまいます。したがって、軽さより強度をより重視する部品については、一定の強度を確保するために部品の一部だけ樹脂で成形するという場合があります。この場合、成形の際に金属と樹脂の接合が必須になりますが、金属同士であれ金属と樹脂であれ、異材接合については高い技術力が必要になります。
手前味噌にはなりますが、後者の加工方法の1つが、前述のALTIMであり自動車業界を始めとする様々な業界で使用されており、金属部品の軽量化だけでなく、高強度や部品点数を削減できる方法となっております。
樹脂化の際の注意点
前述の2種類の樹脂化方法のどちらを採用するにせよ、押さえておくべき注意点が1つあります。それは反りや歪みの発生です。。この原因としては、加工時の「温度」、「圧力」、「繊維の配列」のバラつきにより発生してしまう残留応力によるものです。特に肉厚が不均一である製品や、薄板形状の製品は反りや歪みが発生しやすく、素材によっては1mm単位で発生してしまう恐れがあります。そのため、樹脂化を行う際は、試作段階で反りや歪みによる誤差を考慮する必要があります。
ALTIMで金属部品の一部樹脂化を実現した接合サンプルのご紹介
当社の独自技術"ALTIM"により、軽量化の実現を目指した接合サンプルをご紹介いたします。
サンプル①:自動車用ホイール
当製品は自動車用ホイールです。HVやEVでは、長距離走行を可能とするために、車体や部品の軽量化が進められています。ホイールに関しても軽量化対象であり、強度と軽さに優れるCFRTPを用い、アルミなどの金属と複合化する事例が出てきています。
サンプル②:ドローン用筐体・アーム接合品
義肢に使用されている樹脂・金属同士を接合するイメージとなります。義肢には使用者の負担軽減のため軽量化が求められる半面、部品によっては生体適合の観点から接着剤による接合が不可なため、ボルト・ビスにより樹脂と金属の締結をされているものも多数あります。当社のコア技術である加熱圧着接合(ALTIM)では、生体適合が可能なチタンとPEEKの直接接合が可能であり、上記課題の解消を実現できます。
動画でご確認頂けます!ALTIMの接合強度
樹脂による複合化により軽量化の課題として、強度が挙げられますが、ALTIMによる接合では、引張剪断強度が25MPaを実現しています。
実際に引張り剪断試験を行った動画がございますのでご紹介させて頂きます。
接合工程についても紹介していますので、併せてご確認ください。
金属・樹脂の接合なら、当社に御相談ください
「金属・樹脂 直接接合ラボ」では、自社の独自技術である加熱圧着接合技術ALTIM(特許取得済み)により、従来は難しいとされてきた仕様の樹脂・金属の直接接合を実現できます。さらに、接着剤接合と比較し生産サイクルが短いため、生産性向上が可能となります。
樹脂・金属の接合にお悩みや課題をお持ちの皆様、ぜひお気軽にご相談ください。
>>ALTIMについて、詳しくはこちら!