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2021.09.15

2021.09.30

専門情報

金属と樹脂との複合化の分類

前回のコラムでは、直接接合技術の中で代表的なインサート成形接合技術や問題点について紹介したが、今回は金属と樹脂との複合化技術についていくつかの分類を例示し、弊社が新規開発している直接加熱圧着技術(ALTIM)が属している位置などを紹介する。

一つ目は接合法、工法による分類で、接合法は機械的締結、接着剤による接着、直接接合に分けるものである。また工法は、予め成形された樹脂部品を金属と複合化する場合と、樹脂部品成形と同時に複合化するものに分けられる。樹脂部品を金属と複合化する場合、各部品加工の得意なメーカーが作成するため歩留まりや精度を上げやすいが、工数が多くなる。樹脂部品成形と同時に複合化する工法で代表的なものはインサート成形で、樹脂製品を成形する際、金型内に金属をインサートしておくことにより、金属と樹脂との複合部品を作成することができる。インサート成形では、接合工数は減るが、インサート成形用の特殊金型が必要となり、密着性や封止性を求める場合、接合金属に対する接着剤塗布や特殊金属処理を施す必要がある。また、成形不良はインサート金属を含めて破棄されるためコスト高になり、工数削減によるコストメリットが消えてしまう場合もある。ちなみにインサート成形接合は直接接合の中で樹脂部品成形と同時に複合化する工法であり、直接加熱圧着技術(ALTIM)は予め成形された樹脂部品を金属と複合化する工法に分類される。

      
複合法 工法
機械的締結 樹脂成形したものを金属と接合 ボルト、リベット締結
樹脂成形と同時に金属と接合 ローレット加工や抜け止め加工
金属のインサート成形
接着剤による接着 樹脂成形したものを金属と接合 接着剤塗布による接着
接着テープによる接着
樹脂成形と同時に金属と接合 接着材塗布金属のインサート成形接着
直接接合 樹脂成形したものを金属と接合 摩擦攪拌接合
レーザ直接接合
通電加熱直接接合
加熱圧着直接接合(ALTIM)
樹脂成形と同時に金属と接合 インサート成形接合

二つ目は接合する材料、工法によるもので、樹脂はエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂とPP(ポリプロピレン)のような熱可塑性樹脂に分類する。金属は表面処理を行うか、加工した金属をそのまま用いるかによって分類するものである。また金属の表面処理も。湿式法と乾式法があり、湿式法では大量に処理が可能で、乾式法は接合面に限定した処理が可能であり、それぞれ加工品の大きさや形状によって最適なものを選ぶことができる。弊社では主にレーザ照射による接合金属処理を行っている。

複合法 金属表面処理 工法
熱硬化性樹脂結 表面処理無し 樹脂成形したものを金属と接合 機械的締結・接着剤
樹脂成形と同時に金属と接合 機械的締結・接着剤
湿式表面処理有 樹脂成形したものを金属と接合 機械的締結・接着剤
樹脂成形と同時に金属と接合 機械的締結・接着剤
乾式表面処理有 樹脂成形したものを金属と接合 機械的締結・接着剤
樹脂成形と同時に金属と接合 機械的締結・接着剤
熱可塑性樹脂 表面処理無し 樹脂成形したものを金属と接合 機械的締結・接着剤
樹脂成形と同時に金属と接合 機械的締結・接着剤
湿式表面処理有 樹脂成形したものを金属と接合 摩擦攪拌接合
レーザ直接接合 等
樹脂成形と同時に金属と接合 インサート成形接合
乾式表面処理有 樹脂成形したものを金属と接合 加熱圧着直接接合(ALTIM)等
樹脂成形と同時に金属と接合 インサート成形接合

直接接合に用いられる接合金属表面処理を表3に示す。加熱圧着直接接合(ALTIM)では主にレーザ照射による接合金属処理を行っている。

以上のような分類において、ほとんどの直接接合メーカーは、金属表面処理だけの請負加工(ライセンス契約なども含む)、あるいは直接接合製品づくりだけ、直接接合装置販売だけを行っているが、弊社では独自技術により表面処理から接合複合化まで、直接接合に関する技術を独自におこなっている。

金属処理工法 処理法例
湿式 トリアジンチオール処理
酸化エッチング処理
ヒドラジン処理
沸騰水処理
陽極酸化処理 など
乾式 レーザ処理
ブラスト処理
研磨処理
火炎処理など

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