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2026.09.30
2026.09.30
ペルチェ素子から考える冷却技術
~AIデータセンターで注目される液冷とは?~
当社では、金属と樹脂の直接接合技術を提案していますが、最近よくお問い合わせいただくのが、コールドプレートや水冷ブロックなど、水冷式の冷却部品における接合技術です。
近年、電子機器の高性能化に伴い、熱を効率よく逃がす冷却技術の重要性が、いかに高まっているかがよくわかります。
自動車、産業機器、そしてAIを支えるデータセンターはもちろん、スマートフォンやパソコンなど身近な電子機器まで高性能化が進み、そこで発生する熱への対応が重要になっています。
発生した熱を適切に処理できなければ、部品の温度が上昇し、性能の低下や寿命への影響につながる可能性があるからです。
そのため、熱設計では「どのように熱の発生を抑えるか」だけでなく、
「発生した熱を、どのように効率よく取り出し、別の場所へ移動させるか」
ということが重要になります。
そして、この熱の問題が特に大きくなっているのが、AIデータセンターの分野です。
以前の技術コラムでも、何度か紹介していますが、代表的な冷却技術の一つに「ペルチェ素子」があります。
ペルチェ素子も、こうした「熱を移動させる」技術の一つです。
ペルチェ素子は、電気を利用して熱を移動させることができる半導体素子で、さまざまな電子機器の冷却などに利用されています。
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今回注目したいのは、ペルチェ素子とAIデータセンターが直接関係しているということではありません。
ペルチェ素子をきっかけに、「熱をどのように移動させるのか」という視点で冷却技術を考えてみると、現在急速に進化しているAIデータセンターの冷却技術にもつながっていきます。
AIの進化で高まるデータセンターの冷却ニーズ
AI技術の普及と進化によって、大量のデータを高速に処理するための高性能なGPUやCPUが使われるようになっています。
これらの半導体は非常に多くの電力を消費し、その一部が熱として発生します。
特にAIサーバーを高密度に配置するデータセンターでは、限られたスペースに多くの発熱源が集中するため、効率的な冷却が欠かせません。
最近では、あるGPUやAI・データセンター関連の半導体企業が45℃の冷却液を循環させるAIサーバー向けの完全液冷システムを発表しました。
45℃の冷却液がサーバー内に送り込まれ、熱を吸収して約55℃で排出される液冷システムです。排出された冷却液は、施設側の冷却設備で熱を放出し、再び循環します。
冷却液の温度が高いため、条件が整う地域では、外気を利用して熱を逃がすドライクーラーによる放熱が可能となり、電力負荷の大きい機械式チラーの稼働を低減できる可能性があります。
このように、データセンターの冷却システムとして、空冷から液冷への移行が進んでいます。
AIの進化を支えるためには、計算能力を高めるだけでなく、「発生した大量の熱を、いかに効率よく処理するか」が必要になっているのです。
「冷やす」だけではなく「熱を運ぶ」ことが重要
ここで、ペルチェ素子と液冷をもう一度考えてみましょう。
ペルチェ素子は、電気を利用して熱を移動させます。
一方、液冷では、冷却液を利用して熱を発熱部から別の場所へ運びます。
仕組みは異なりますが、共通しているのは、
「発生した熱を、どのように移動させるか」
という考え方です。
冷却というと、「温度を下げる」というイメージが先に浮かびますが、高発熱の電子機器では、単に温度を下げるだけでは十分ではありません。
発生した熱を素早く取り出し、どこへ運び、どのように処理するのか。この「熱の通り道」全体を設計することが重要になります。
ターゲットを絞って冷却できる液冷
ペルチェ素子は、特定の場所を局所的に冷却する「ターゲット冷却」に適した技術といえます。
ペルチェ素子は、電気エネルギーを使って能動的に熱を移動させるため、周囲の温度よりも低い温度まで冷却することが可能です。
ただし、ペルチェ素子には、「冷却面から吸収した熱に加えて、駆動に使った電力に相当する熱も反対側へ放出する」という特徴があります。
そのため、ペルチェ素子を使用する場合には、放熱側の熱を効率よく逃がすためのヒートシンクや液冷など、別の冷却手段を組み合わせる必要があります。
「ターゲット冷却」という点で、液冷も発熱源に近い場所から、局所的かつ効率的に熱を取り出すことができる冷却方法の一つです。
例えば、GPUやCPUなどの発熱部品に直接コールドプレートを接触させ、その内部に冷却液を流すことで、発生した熱を効率よく取り出します。
空冷でも、ヒートシンクやヒートパイプなどによって、発熱部品から熱を取り出し、ファンで放熱できますが、液冷では、発熱源のすぐ近くに冷却液を流し、熱を直接冷却液へ移動させることができます。
また、液体は一般的に、気体よりも単位体積あたりの熱容量が大きいため、少ない流量でも効率よく熱を運ぶことができます。
ペルチェ素子ほど「特定の狭い面積を能動的に冷却する」ものではありませんが、発熱源の近くで熱を取り出し、その熱を冷却液によって別の場所へ運ぶという点で、液冷も「ターゲット冷却」に適した方式といえるでしょう。
GPUの熱を受け取る「コールドプレート」
液冷システムの中でも重要な役割を担う部品の一つが、コールドプレートです。
コールドプレートは、GPUやCPUなどの発熱部品に直接接するように配置され、内部に冷却液を流すことで熱を取り出します。
データセンターの冷却システムでは、GPUやCPUの熱を吸収したコールドプレートの冷却液が、「CDU(Cooling Distribution Unit)」という冷却液分配ユニットへ移動します。
CDUでは、サーバー側の冷却液から設備側の冷却回路へ熱を受け渡し、チラーなどの冷却設備へと運ばれます。
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>> データセンターの冷却
コールドプレートは単に「冷やすための板」ではありません。
発熱部品から熱を受け取り、冷却液へ効率よく熱を渡すための熱交換部品です。
そのため、コールドプレートには、熱を効率よく伝える性能だけでなく、冷却液を内部で安定して循環させるための流路設計なども求められます。
コールドプレートに求められるさまざまな性能
◎冷却液を効率よく流す内部設計
コールドプレート内部には冷却液が流れる流路やフィンが設けられます。
内部の形状によって、熱の伝わり方や冷却液の流れやすさが変わるため、冷却性能と流動性能のバランスが重要になります。
◎高い熱伝達性能
発熱部品から熱を効率よく取り出し、冷却液へ伝える必要があります。
コールドプレートの内部構造や使用する材料によっても、熱の伝わり方は変わってきます。
◎液漏れを防ぐ信頼性
液冷では冷却液を扱うため、長期間にわたって安定して使用できる構造や材料、また接合技術も重要です。
特にコールドプレートや水冷ブロックでは、内部に冷却液を流すため、高い気密性と長期的な信頼性を確保することが重要な課題となります。
金属と樹脂との直接接合技術―それぞれの特徴を活かした冷却部品
冷却部品を設計するうえで、もう一つ重要になるのが「材料」です。
一般的に、金属は熱伝導性に優れ、冷却部品との相性が良い材料です。
一方、樹脂には、軽量であることや、複雑な形状を成形しやすいといった特徴があります。
例えば、片面では熱を効率よく伝えることが求められ、別の部分では軽量化や絶縁性、複雑な形状への対応が求められるなど、一つの冷却部品の中でも異なる性能が必要になる場合があります。
そのような場合、金属と樹脂、それぞれの特性を組み合わせたハイブリッド構造が有効となる可能性があります。
しかし、そのときに必要となるのは、信頼性の高い異種材料の接合技術です。
当社の金属と樹脂の直接接合「ALTIM®」は、高い気密性が求められる用途にも対応できる接合技術です。
水冷ブロックや水冷ヒートシンク、コールドプレートなどの冷却部品において、金属と樹脂のハイブリッド構造をご検討でしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

