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■注目の技術トピック
>> 銅バー(バスバー)における樹脂との接合 >> リチウムイオン電池(LIB)の構造とは >> 自動車業界や産業用で使われる「防水コネクタ」の作り方とは >> リチウムイオン電池(LIB)の電極部の気密性をあげるには >> コネクタや自動車にも使われるバスバーの防水対策とは >> インサート成形とインサート成形接合との違いとは?

2025.05.18

2025.05.19

ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の違いとは?

◼︎ニッケル水素電池とリチウムイオン電池ともに欠かせない電池。その特徴や用途は?

現代の暮らしを支える様々な製品に欠かせないバッテリー技術。
なかでも「ニッケル水素電池」と「リチウムイオン電池」は、一般的に幅広く使用されている電池です。
両電池とも充電式の二次電池ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。

ニッケル水素電池

リチウムイオン電池

ニッケル水素電池とは

充電可能な二次電池のひとつで、ニッケルカドミウム電池の負極のカドミウムを、水素吸蔵合金(水素を吸蔵・放出できる合金)に置き換えたものがニッケル水素電池です。1990年代に商品化され、家庭用として広まりました。
有害物質カドミウムを含まず、性能面でも優れているため、ニッケルカドミウム電池の置き換えとして普及し、今では、デジタルカメラ、パソコン、ハイブリッド車のバッテリーなどにも使用されています。ニッケル水素電池は安全性が高く、扱いやすいという強みがあります。

リチウムイオン電池とは

リチウムイオン電池は、正極と負極間をリチウムイオンが移動して充放電を行う二次電池です。携帯電話やノートパソコンといった個人向け製品での利用から広がり、電気自動車関連にも活用されるようになりました。その高性能ゆえに、現在のデジタル社会を支える中心的な技術となっています。
他の二次電池と比べて、「エネルギー密度が高い」という特徴があり、今では、さまざまな分野でリチウムイオン電池の活用が広がっています。

仕組みの違い

ニッケル水素電池の仕組み

ニッケル水素電池は、2本の電極(正極・負極)、それらを分けるセパレータ、電解液で構成されています。
正極にはニッケル酸化物、負極には水素を蓄える水素吸蔵合金が使用されています。両極間を水素を含む水酸基(OH)が移動することで、充放電を行う仕組みです。電解液には、アルカリ性水溶液(主に水酸化カリウム)が使われます。
充電時は、負極で水素が吸蔵され、放電時には吸蔵していた水素を放出します。
電池材料に有害物質を含んでおらず、環境にやさしい二次電池です。

リチウムイオン電池の仕組み

リチウムイオン電池従来の電池と同じく、2本の電極(正極・負極)、セパレータ、電解液から構成されています。リチウムイオンが正極と負極の間を移動することで、充放電を行う仕組みです。
正極に使用されている材料は、主に金属酸化物(コバルト、ニッケル、マンガンなど)で、特にエネルギー密度に影響を与えています。負極には炭素系材料などが使用されます。
充電時は、負極から正極に向かって電流が流れます。リチウムイオンは電解液を介して、正極から負極に移動し蓄積します。
放電時は、負極に蓄積していたリチウムイオンが正極に移動することで、放電電流が発生します。
この構造によって、ニッケル水素電池を越える高いエネルギー密度と安定した電圧供給が可能になっています。

>> 技術トピックス:リチウムイオン電池(LIB)の構造とは

◎リチウムイオン電池の充放電の仕組み

リチウムイオン電池の構造

用途の違い

ニッケル水素電池

単三などの市販電池として、リモコンやおもちゃ、懐中電灯、時計、電動工具など、身近な製品で使用されています。また、ニッケル水素電池は、ハイレート放電性が良いことから、ハイブリッド車(HV)のエネルギーとしても使用されています。

リチウムイオン電池

電気自動車のバッテリーや産業機器、通信機器、パソコン・タブレット・スマートフォンなど、大容量の電力を必要とするものや繰り返し充電が求められる機器に使用されています。家電においても、パワーが必要なロボット掃除機などはリチウムイオン電池に置き換わってきています。

進化するリチウムイオン電池

小型・軽量が求められるモバイル機器から、電気自動車や再生可能エネルギーなど需要が高まり、リチウムイオン電池の研究開発や改良が進められています。
従来の電池に比べ、劣化しにくいだけでなく、より大きな電力を扱うことができます。また、高いエネルギー密度、急速な充放電、低い自己放電率などの特徴があり、その活躍の幅を広げています。

技術の進化により、リチウムイオン電池の性能はますます高まっていますが、安全性・コスト面で、ニッケル水素電池も欠かせない存在です。

リチウムイオン電池の進化をサポート!?「ALTIMアルティム®」とは

「金属・樹脂 直接接合ラボ」では、リチウムイオン電池をより安全に進化させるために、金属と樹脂の直接接合技術「ALTIMアルティム®」を提案しています。

この技術は、金属の封口板と絶縁体である樹脂、および電極端子との接合強度と気密性を確保し、封口部の耐漏液性を向上します。
また、金属部材と樹脂部材を直接接合するため、ガスケットや塗布する封止材が不要となります。

角形リチウムイオン電池の封口板(電極部)サンプル

角形リチウムイオン電池

角形リチウムイオン電池向け封口板のサンプルモデル。

角形リチウムイオン電池

絶縁体のPPS樹脂を銅とアルミで挟んで接合。

角形リチウムイオン電池

封口板サンプルの負極端子(銅)

角形リチウムイオン電池

封口板サンプルの負極端子(銅/裏面)

角形リチウムイオン電池

封口板サンプルの正極端子(アルミ)

角形リチウムイオン電池

封口板サンプルの正極端子(アルミ/裏面)

超高気密・超高強度な金属と樹脂の接合部品は、当社にご相談ください。

「金属 樹脂 直接接合ラボ」では、新しい接合技術「ALTIMアルティム®」を用いて、金属と樹脂の接着・接合のおける課題を解決します。

ALTIMアルティム®は独自のレーザー技術がポイントです。
独自のレーザー条件で金属表面に照射。樹脂との接合に適した凹凸形状を形成します。
凹凸形状は金属の種類ごとに異なります。
睦月電機では、国内外でこのレーザー技術の特許を取得。

接合する金属と樹脂部品を合わせ、金属側を加熱。その熱で樹脂表面だけを溶かして加圧することで、金属表面の凹凸形状に樹脂が染み渡るように流れ込みます。加圧したまま冷却すると、高強度、高気密な接合部品ができあがります。

強度や耐久性、防水や気密性でお悩みをお持ちのお客様は、お気軽にご相談ください。
また、組み合わせたい金属と樹脂がございましたら、ぜひお問い合わせください。試験片作成も対応しております。

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