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技術トピックス

2024.10.24

2024.10.24

リチウムイオン電池(LIB)の電極部の気密性をあげるには

リチウムイオン電池技術は、電気自動車(EV)市場の拡大に伴い、さらなる進化が求められています。

高いエネルギー密度、高い動作電圧、高い安全性、リサイクル性と、ニッカド電池やニッケル水素電池など従来の電池よりもメリットの多いリチウムイオン電池。

しかし、EVの発展のためにも、より小型で薄型、高機能、安全性能の向上を目指した技術開発が進んでいます。

リチウムイオン電池イメージ

リチウムイオン電池イメージ

リチウムイオン電池の電極における封止部

リチウムイオン電池は、正極板と負極板、正極と負極を分離するセパレータ、リチウムイオンを移動しやすくする電解液が電池ケースに収納されています。
電池ケースの開口部は、封止する部品「封口板」により密閉されており、電解液の漏れを防ぐ役割を担っています。

この封口板は電池の正極端子・負極端子と接するため、電極との間に樹脂部品を挟み込み絶縁しています。その隙間を封止するため、現在は封止技術である「カシメ」が利用されています。

しかし、従来のカシメ法では部品点数が多く、カシメ具合によって封止性能や耐久性が十分ではないという課題があります。

超高気密・超高強度を実現するために

電解液の漏れを防止し、劣化を防いで長期間安定した性能を保つことは、リチウムイオン電池の安全性向上につながります。
また、エネルギー密度を向上させるためにも、電極の安定性が重要となってきます。

この難しい性能を実現するために、当社が提案するのが、金属と樹脂の直接接合「ALTIM(アルティム)®」を用いたリチウムイオン電池の封口板です。

円筒型リチウムイオン電池の封口板(電極部)サンプル

円筒型リチウムイオン電池の封口板(電極部)
金属+樹脂+金属のサンドイッチ接合も可能

円筒型リチウムイオン電池の電極部

円筒型リチウムイオン電池の電極部

封口板の加工事例

封止性能評価

下記の金属と樹脂サンプルの界面を接合後にヘリウムリークによる封止性能の評価を行いました。
その結果、自動車・電池業界、電子・精密機器業界においてもクリアできる許容リーク量となりました。

封口板サンプルのヘリウムリーク試験

封口板サンプルのヘリウムリーク試験

【試験】
接合品を治具にセットし試験体内を真空引き後、下からヘリウムガス0.5MPaを導入。
1分後、接合部からのリーク量を測定。

試験条件:-40℃~130℃ /3,000cycle



封口板サンプルのヘリウムリーク試験

【結果】
ヒートショック試験後でも、高い密封構造を保持。
従来よりもリチウムイオン電池の電極部の気密性と耐久性を向上します。


・熱衝撃試験前  … 10⁻⁸ Pa・㎥/sec 以下
・熱衝撃試験後  … 10⁻⁸ Pa・㎥/sec 以下

超高気密・超高強度な金属と樹脂の接合部品は、当社にご相談ください。

「金属 樹脂 直接接合ラボ」では、新しい接合技術「ALTIMアルティム®」を用いて、金属と樹脂の接着・接合のおける課題を解決します。

ALTIMアルティム®は独自のレーザー技術がポイントです。
独自のレーザ条件で金属表面に照射。樹脂との接合に適した凹凸形状を形成します。
凹凸形状は金属の種類ごとに異なります。
睦月電機では、国内外でこのレーザ技術の特許を取得。

接合する金属と樹脂部品を合わせ、金属側を加熱。その熱で樹脂表面だけを溶かして加圧することで、金属表面の凹凸形状に樹脂が染み渡るように流れ込みます。加圧したまま冷却すると、高強度、高気密な接合部品ができあがります。

強度や耐久性、防水や気密性でお悩みをお持ちのお客様は、お気軽にご相談ください。
また、組み合わせたい金属と樹脂がございましたら、ぜひお問い合わせください。試験片作成も対応しております。

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