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■注目の技術トピック
>> 銅バー(バスバー)における樹脂との接合 >> リチウムイオン電池(LIB)の構造とは >> 自動車業界や産業用で使われる「防水コネクタ」の作り方とは >> リチウムイオン電池(LIB)の電極部の気密性をあげるには >> コネクタや自動車にも使われるバスバーの防水対策とは >> インサート成形とインサート成形接合との違いとは?

2025.07.30

2025.07.31

リチウムイオン電池における樹脂部品の役割

一次電池や二次電池、蓄電池など、様々な電池に使われる樹脂部品。
『金属・樹脂 直接接合ラボ』を運営する睦月電機は、精密プラスチック成形を得意としており、電池用の封止部品(ガスケット)、絶縁部品(絶縁板)を多数製造しています。

樹脂成形

樹脂成形

>>参考:睦月電機の金型製作・樹脂/プラスチック成形

>>参考:睦月電機の樹脂成形品サンプル

 

電池の樹脂部品には、ガスケットやパッキン、絶縁プレート、絶縁板、絶縁スペーサーなどと呼ばれるものがあり、主に封止や絶縁を目的として使用されています。また、リチウムイオン電池(Li-ion Battery/LIB)内のセパレータにも樹脂素材が使用されています。

リチウムイオン電池 金属部品と樹脂部品の接合

リチウムイオン電池 金属部品と樹脂部品の接合

リチウムイオン電池における樹脂部品

リチウムイオン電池(LIB)は、ノートパソコン、スマートフォン・タブレット、電動工具から、EV自動車、蓄電システムなどに使用される二次電池です。正極と負極、セパレータ、電解液、ケースといった構造です。

>>参考:リチウムイオン電池(LIB)の構造とは

 

丸形・コイン形リチウムイオン電池はガスケットとセパレータ、角形はこれに絶縁板が必要となります。
下記のような部品構造(角形の一例)となっています。

リチウムイオン電池の構造

端子と金属の蓋(封口板)との接触を防ぎショートを起こさないための絶縁部品、電解液を封止し大気中からの水分の流入を防ぐためのガスケットが、電極に必要な樹脂部品となります。
現在は、下記のようにカシメ法によって金属と接合しています。

リチウムイオン電池 カシメ法

セパレータは、電池の内部で正極と負極を隔てるための微多孔膜で、ポリエチレンやポリプロピレンなどが使用されています。電極の接触による短絡(ショート)を防ぎながら、細かい孔からイオンを移動させる役目があります。

◎絶縁板に求められる性能

・電極との短絡(ショート)を防ぐ絶縁性
・セルの熱暴走時に燃え広がらない難燃性
など

◎ガスケットに求められる性能

・リークを防ぐ高い封止性能(シール性)
・電解液に対する耐溶剤性
・圧入やカシメによる組立時の変形や破損を防ぐ圧縮強度
・クリープ耐性・長期使用環境下(高温・サイクル膨張)でも性能を維持する耐久性
など

◎セパレータに求められる性能

・イオンのみを透過させる絶縁性
・高電位に耐える強度
・膨張や収縮に耐える強度
・電解液の長期間接触に耐える化学的安定性
など

リチウムイオン電池における樹脂部品の課題

リチウムイオン電池に欠かせない封止・絶縁部品ですが、電極部分(封口板)については、そのカシメ法において、下記のような課題もあります。

◎ガスケットの気密性は弾性応力で担保されるが、クリープ現象や塑性変形、温度などの影響によって封止性能(シール性)が低下する。

◎上記の理由により、ガスケット部分と組電池連結部分の一体部品化が困難。

◎EV自動車のリチウムイオン電池の場合、振動により気密性の維持が難しい可能性がある。

リチウムイオン電池における樹脂部品の課題を解決する新技法

リチウムイオン電池は、その安全性・安定性を長期間確保し性能を維持することが、非常に重要です。安全性評価には様々な観点がありますが、『金属・樹脂 直接接合ラボ』では、特に電極部分の性能に焦点をあてています。

正極と負極は電池の性能や安全性に大きく影響を与える重要な要素で、その構造設計は、エネルギー密度や寿命にも影響します。

『金属・樹脂 直接接合ラボ』では、金属と樹脂の加熱圧着接合技術「ALTIMアルティム®」により、高気密な角形リチウムイオン電池の封口板部品を提案しています。

金属と樹脂の加熱圧着接合技術「ALTIM®」の特徴

3ステップの接合工程

独自のレーザ粗面化技術により、アンカー効果による高い接合界面を作り出すことが可能です。

ALTIMの工法

「ALTIM®」による封口板部品の改善点

◎クリープ現象や応力緩和の影響を受けないため振動や経年劣化の影響小
部品点数を低減することによるコストダウンが可能。
◎端子や蓋部に若干の汚れや腐食などがあっても処理が可能。
◎ガスケットにPFA(フッ素樹脂)より原料単価の安いPPSを使用することによるコストダウンが可能。
◎端子部と蓋部(封口板)の間に絶縁体を挟み直接接合。強度を確保し部品を簡略化

 

超高気密・超高強度な金属と樹脂の接合部品は、当社にご相談ください。

「金属 樹脂 直接接合ラボ」では、新しい接合技術「ALTIMアルティム®」を用いて、金属と樹脂の接着・接合のおける課題を解決します。

ALTIMアルティム®は独自のレーザー技術がポイントです。
独自のレーザー条件で金属表面に照射。樹脂との接合に適した凹凸形状を形成します。
凹凸形状は金属の種類ごとに異なります。
睦月電機では、国内外でこのレーザー技術の特許を取得。

接合する金属と樹脂部品を合わせ、金属側を加熱。その熱で樹脂表面だけを溶かして加圧することで、金属表面の凹凸形状に樹脂が染み渡るように流れ込みます。加圧したまま冷却すると、高強度、高気密な接合部品ができあがります。

強度や耐久性、防水や気密性でお悩みをお持ちのお客様は、お気軽にご相談ください。
また、組み合わせたい金属と樹脂がございましたら、ぜひお問い合わせください。試験片作成も対応しております。

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