TECH TOPICS
技術トピックス
					■注目の技術トピックス
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					» オートクレーブ滅菌と異種材料接合
					» ペルチェ素子を使った水冷式の冷却に必要なこと
					» リチウムイオン電池(LIB)の構造とは
					» 熱交換における接合技術の役割
					» バスバーを端子台に取り付ける目的とは
					» 放熱と絶縁を両立するヒートシンクと樹脂との一体化
					» 高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)にも対応する金属+樹脂の直接接合
					
					
2025.10.31
2025.10.31
ペルチェ素子とヒートシンクの相互作用
電子機器の小型化・高性能化による熱対策や猛暑対策品の需要にともない、効率的な冷却技術の重要性が増しています。その中で注目を集めているのが「ペルチェ素子」です。
電流を流すだけで一方を冷却し、もう一方を加熱するこのデバイスは、半導体、医療機器、光学装置、ウェアラブルエアコンなど、さまざまな分野で活用されています。
しかし、ペルチェ素子単体では冷却性能を十分に発揮できません。
そこで欠かせないのが、「ヒートシンク(熱交換器)」の存在です。
 
 
ペルチェ素子の基本原理
ペルチェ素子は、直流電流を流すと、片面が吸熱(冷却)し、反対面が発熱(放熱)します。
冷却面:電子が被冷却物(発熱体)の熱を吸収し出ていくため冷たくなる。
発熱面:電子が運んできた被冷却物(発熱体)の熱で熱くなると同時に放出する。
このように、ペルチェ素子は「冷却装置であると同時に発熱装置でもある」という特徴を持ちます。
 
関連トピック
» ペルチェ素子を使った水冷式の冷却に必要なこと
ヒートシンクの役割
発熱面に運ばれてきた熱を放置するとペルチェ素子全体の温度を上昇させ、冷却面の性能を低下させてしまいます。
この熱を効率よく外部へ逃がすのが、ヒートシンクの役割です。
ヒートシンクは通常、アルミニウムや銅などの高熱伝導材料で作られ、空冷または水冷によって熱を放出します。
ヒートシンクが適切に機能することで、発熱面の温度上昇を抑え、冷却能力を維持できるのです。
空冷式ヒートシンク
ヒートシンクにファンで風を当てて熱を排出させる方法です。
ヒートシンクの構造として、ペルチェ素子と接する平らな面と、空気中に熱を逃がすための放熱面から成っています。
放熱面は、放熱フィンと呼ばれ、薄い板を並べたもの、ひだ状のもの、ピンを並べたものなど、表面積が広くなる形状になっています。この放熱フィンの形状や最適化が放熱性能に影響します。
冷却ファンを取り付けることで効率的に熱を外へ排出します。
 
 
水冷式ヒートシンク
空気と比べ伝導率の高い冷却液を通して熱を排出させる方法です。
ヒートシンクの構造として、ペルチェ素子と接するベースプレートと冷却液を通す流路から成っています。
この流路の形状や加工精度が冷却性能を大きく左右するため、冷却液との接触面積を広くしたり、冷却を均一にする工夫がなされます。
流路は、パイプを挟んだものや厚板に溝を切削して薄板を貼り合わせたもの、さらには、空冷式と同じように放熱フィンがついたものもあります。
水冷式ヒートシンクは高い気密性が求められることから、部材の接合工法が重要となります。
 

金属と樹脂を直接接合した当社の水冷式ヒートシンクサンプル。
関連トピック
» 水冷式ヒートシンクを使った熱対策
相互作用のメカニズム
ペルチェ素子は、電気エネルギーで熱を自在に移動させる革新的なデバイスですが、その性能を支えているのはヒートシンクとの密接な関係です。
どちらか一方が欠けても成り立たない“熱の連携関係”と言えるでしょう。
ペルチェ素子 → 熱を移動(低→高)→ ヒートシンク → 熱を放出
ヒートシンクの放熱が不十分だと、発熱側の温度が上昇し、ペルチェ素子の冷却能力が低下します。
逆に、放熱効率を高めすぎると、発熱面が逆に冷えてしまい温度制御が難しくなります。
したがって、両者の熱抵抗バランスをとることが、熱制御システム設計の鍵になります。
【相互作用を高めるポイント】
①熱抵抗の最小化
・接触面に適切な放熱用シリコーングリスを使用するなど熱伝導性を高める。
・接触面の平滑度を高め、空気層を排除する。
②ヒートシンクの放熱能力の確保
・材質は伝導率の高い銅やアルミを用途に応じて選定。
・フィン形状、ファン風量、水冷プレートなどで放熱性能を調整。
③冷却負荷の適正化
・対象物の熱容量や外部環境温度を考慮し、ペルチェ素子の容量を決定。
・過剰冷却による結露防止も重要。
精密光学装置や医療機器、レーザー装置、車載用機器など、わずかな温度変動が性能に影響する装置では、ペルチェ素子とヒートシンクの“相互設計”が不可欠となってきます。
金属と樹脂の直接接合技術でヒートシンクを軽量化
「金属と樹脂の直接接合ラボ」を運営する睦月電機では、
金属と樹脂を直接接合する「ALTIM®」を提案しています。
ヒートシンクにおいて、金属部材の一部を樹脂に置き換えることで、軽量化が可能となります。
特に水冷式ヒートシンクの場合は、高い気密性が必要となるため、その接合技術が重要となります。
当社の「ALTIM®」なら、高密度・高強度を確保しながら軽量化し、樹脂ならではの柔軟な設計が可能になります。
 
 
水冷式ヒートシンクにおける採用実績もありますので、熱対策をご検討の際には、ぜひご相談ください。
» 採用実績はこちらの記事をご覧ください。


 
                                                                                             
                                                                                             
                                                                                             
                                                                                             
                                                                                            